第三回

前回お話していた“初めての出会い絵本” の次の段階を教えてほしいのですが、どんな絵本を読むとよいのでしょう。

絵本が楽しいものだと思えてきたら、ストーリーの展開を追うようなお話の入門編です。
“初めての出会い絵本“で、単発の場面の1ページ1ページが楽しめるようになってくると、次はひとつのお話が、ページをめくるたびに展開していくような絵本が楽しめるようになっていきます。

簡単なお話(ストーリー)ということですか? 例えば、どんな本ですか?

いろいろな絵本がありますが、
(具体例いくつかと簡単に解説)

「おやすみなさいおつきさま」評論社
「わたしと遊んで」福音館書店
「おやすみなさいのほん」福音館書店
「ティッチ」福音館書店
「おおきなかぶ」福音館書店

などは、是非読んでほしいですね。
どれも、子どもの身の回りにあるちょっとした出来事のお話です。「おやすみなさい おつきさま」などは、大人が読んでもちょっとしたムードが味わえますよ。「おおきなかぶ」は昔話の最初としては、繰り返しがたくさんあるし結末の安定感が抜群です。

「おおきなかぶ」以外は、あまり見かけない絵本ですね。

地味な絵本ですからね。でも、子どもの感情を刺激するような、底力をもった絵本です。
「おやすみなさい おつきさま」は、皇后さまがお好きな絵本で有名ですね。

感情的な要素が入っているのでしょうか。小さい子にも、そういう感情が分かるのでしょうか。

子どもはすごい力を持っているもので、赤ちゃんの時には、「快」「不快」の単純な気持ちだけだったのが、2,3歳になると、うれしい、かなしい、さびしい、くやしい、など、いろいろな気持ちが芽生えてきます。
絵本に入り込み、お話の主人公に乗っかることで、日常で自分が感じた気持ちを、反すうできるのかもしれませんね。


それなら、どんどんストーリーがあるものを読んでいきたくなりますが。


少しずつ試してみながら、ステップを行き来してみるといいと思います。
ここまで読んだから次はこの段階、とはっきりと分かれるものでもないんです。
行きつ戻りつ早く絵本年齢が上る子もいるし、ゆっくりな子もいます。
今現在楽しめるものをたっぷり楽しんだほうがいいですね。そうやって素地を作ることで、次のステップに行ったときにより楽しめるようになるんです。お母さんの方が急いでも、子どもはついてきません

ストーリー展開が、面白いものを選んでと思って、読んであげても、十分内容についていっているようですが、どうも喜んでいない気がして

お子さんはどんなものにひかれているのでしょう。読み聞かせながら、大人の一人合点にならないように、子どもの感情の動きを感じてください。喜んだ顔をするだけが、絵本を楽しんだしるしとは、限りません。何かを感じているときには、真剣な表情になるときもあります。無表情で終わっても、後日、思い出したように絵本の話をすることもあります。 子どもの心に、何かを感じさせる絵本を選んであげたいですし、しっかりと感じる心を持った子どもに育てたいですね。

本屋さんで絵本を選ぶとき、何を基準にしたらよいのか、迷います。

ぱっと見で地味な本でも、いい絵本はいっぱいありますから、難しいですね。
できれば、お子さんに読んでみて判断したいところですが、なかなかできないこともありますね。

つい、絵で判断することが多いです。なんだかかわいらしい本ばかり集まってしまって。

まだまだ幼く思えるけれど、子供は意外と大人びた感受性も持っているものです。あまりかわいい、甘ったるい内容ばかりでは物足りないはず。とくに、美しい日本語のものを選んで欲しいです。子どもに媚をうるような赤ちゃん言葉のものは、いいことはないと私は思っています。
子供は意外とシビアにものを見ています。お母さん目線のかわいらしさではなく、子供目線で選びたいですね。

子供目線になるのは難しいなあと、近頃感じています。本屋さんで読み聞かせてみるのも場所によってはなかなかできず…。

子供目線になるのはとってもとっても難しいことです。 おすすめなのは、図書館で借りてみて、すごく気に入った本があれば、何度もすぐ読めるように手に入れてしまうことです。一度読んだからもういいでしょということではなくて・・・

手元にずっと置いておきたいものをたくさん見つけたいと思っています。

出版年度や作家の生誕年度は、分かりやすい目安です。30年以上読み継がれている絵本は、相当の力を持った本だと私は思います。
気に入った絵本の、作者、訳者、画家を覚えておいて、そのつながりで広げていくのもいい方法です。でも、ときどき、同じ作者でも「あれっ?」と思う絵本もありますが・・・

古典的な昔話だと、いろいろ別バージョンがあったり、絵のつけかたによってだいぶ雰囲気が違うので迷います。昔話でなくとも同じ題材のものも迷います。

お母さん自身が、人に読んでもらうというのもいいですね。同じ題材の本や、同じタイトルの昔話を聞き比べてみると、あんまり好ましくないなと思うものもあるはずです。好ましいものとそうでないものが、なぜそうなのかと考えてみるのも、面白いですよ。
推薦図書になっているものでも、自分自身で読んでみて、ちょっとあんまりよくないなと思うものもあるはず。
次回は、さらに次の段階と、昔話についてお話したいと思います。