Anniversary Box No.6~10

2013年春、リネンバードは10周年を迎え10個のAnniversary boxを作りました。 それぞれの箱が「旅」にちなんだストーリーを持つ、絵本のようなボックスです。
スタッフがテーマを決め、ストーリーを考え水彩と色鉛筆で絵を描きました。
箱はかたちも大きさもさまざま。10個揃った時に入れ子になる組み合わせがあったり、つながりのある箱があったりと、ちょっとした仕掛けをしています。

Anniversary Box No.1~5へ >>

No.6「viva la vida」

朝目が覚めて一番最初に思うのは、恋人のことでもなく 昨日みた夢の続きでもなく その日の朝ごはんについて(夜、ベッドの中で考えることもある)
 -Todays menu-
・焼きたてのトースト、クリームチーズと季節のジャム
・カリカリのベーコンと目玉焼き・淹れたてコーヒーには温かいミルクとシナモン
旅先の美味しい朝ごはんを食べたなら たとえその日が雨でも 小さな寝ぐせがなかなか直らなくても 靴下に穴が空いてしまっても 僕はきっと笑顔でやり過ごすことができるんだ
窓を開け、ベッドを整える。 顔を洗い、丁寧に歯を磨き さあ、朝ごはんを食べにいこう!
viva la vida
今日も楽しい一日が待っている。

No.7「to me」

「写真を撮り終えると私はただ空を眺めていました。 鳥が飛び立った空は、雲ひとつなく高く澄み渡り その行方をみるともなく追っているうちに力の入った身体が少しずつ緩んでゆきます。
そして一羽の鳥との間の小さくも確かな呼吸の交歓を思い出し そこに生まれた奇跡に深く感謝したのです。今年もその証をあなたに届けます。
2013年8月」 
一枚の写真と短い手紙 10番目になるそれを大切に箱に仕舞う
海を渡って届く 私へのメッセージ

No.8「The rule of a trip #トランク」

リュックひとつで充分の旅でも 私はいつもこのトランクと一緒
古くて大きいけれど パチンパチンと開ける音に いつだって心ときめくし
世界中のステッカーもお気に入り
「Bye! Safe journey home!」
旅の終わりに閉める時はゆっくりと決して急いではいけない
逃げないように こぼれないように
その国の空気を少し切りとって持って帰りたいから注意深くとじこめる
そしてそのまま丁寧に運ぶ

No.9「包みをあけたら」

・「Lyonまでの切符」
メトロに乗り駅まで向うはずが友人は古い車をとばして迎えに来てくれた。(切符を買ってしまったことは言わないでおく) 黄色の小さな車は、走るたびカタカタと小気味よい音をならし いつでも僕を歓迎してくれる
・「印をたくさんつけた、Parisのマップ」
・「Musee d’Orsayのチケット(半券)」
・「レストランのワインのコルク」
そのレストランで僕はワインをこぼしてしまった。白いシャツに大きな赤いシミ。旅の始まりで落ち込んでいると「君のアンラッキーはそれでおしまい。 明日からの旅はきっと素晴らしいものになるよ!」と若い店員がウインクをくれた。
・「いかしたHOTELのマッチ箱」
タバコを吸わない僕だけれどつい手にとったもの。
・「夕焼けの写真」
モナ・リザやミロのヴィーナスより その日Parisで見た夕焼けが一番に美しく芸術的だった。
Montmartreの丘が紅く染まる。
いつか旅の記憶が小さな点になるとき 僕は再び この包みを手にするだろう
点と点をうまくつなげるために いくつかの思い出をひとつにそっと包んだ

No.10「somewhere」

窓から覗く遠い虹の始まりや 道端でゆっくりと草を食むロバの行方
手にした事のない不思議な形をした果実の中身や 小さな古い駅で一人音を奏でる老人の次の曲  この手で感じた世界の続きを ゆっくりと放てる確かな場所で 私を待つ人がいる
going home
旅が旅であるために必要な温もりの場所へ その人の元へ 帰ろう
旅が終わる夜 眠りにつく前に つぶやいてみる
「やがて一羽の鳥は旅を終え、静かな温かい巣で ゆっくりと羽を休めた」

Anniversary Box No.1~5へ >>