アバウトリネン リネンのはなし、あれこれ、よもやま話。お話その2

ミシン糸は普通の素材のものでいいの?

リネンを縫う際には、特別なミシン糸を用意しなくても、普段使っているもの(シャッペスパンミシン糸など)で充分です。ただし、生地の厚さによって、糸の番手は調整したほうがよいでしょう。 ミシン糸はポリエステルが主流ですが、コットンの糸もあります。つくりたい素材感によっては、コットンの縫い目にするという選択肢もあります。 麻のミシン糸は、革用のものはありますが、布用では見かけません。

縮みをどう処理するか

生地の用尺を考えるとき、計算に入れなければならないのが、縮み分です。 リネンの縮み率は、だいたい2パーセントから5パーセント。生地によってはもっと縮むことがありますし、季節によって伸び縮みもします。 服などのサイズが厳密なアイテムは、先に「水通し」して、生地を縮ませてから裁断したほうが賢明です。 だいたいのサイズでも困らないものの場合は、そのままで縫製してもよいし、どちらでもかまいません。

生地の表と裏がわからない

織り模様や表面加工(プリント加工など)のある生地では、表裏は重要ですが、無地の生地ではどちら側を表として使っても差し支えありません。裁断の際にはすべてのパーツを同じ面に統一しましょう。 見分けるには、ミミを見る方法があります。織り機にかかっている時、裏側から表側に向かって、ミミの部分に針を打って留めつけているので、よくみるとプツプツと穴が開いており、それが見分ける目印となります。 なお、リネンバードで購入された生地については、表側を内側に折りたたむようにしてお渡ししています。

色落ちが心配

近年では染料がよくなってきているので、極端な色落ちや色移りは心配ないでしょう。しかし、生成り(フラックスそのままの色)の生地が洗濯や日光によって褪色してしまうことがあります。洗濯の際、「蛍光剤(より白くする成分)」が入っていると、褪色が進みやすくなります。 自然な色の変化は、むしろ楽しんでしまいましょう。

生地を追加で購入したら色が違う気がする

ある生地を購入して、製作をはじめたら少し足りなかったので少し追加したら、色が微妙に違う…?これは、特に生成り色で起こりがちな現象です。 その年に育ったフラックスと次の年のフラックス、この畑のフラックスとよその畑のフラックスでは、色が均一とはいかず、生地になっても色の違いが大なり小なり出てきてしまいます。土の上に寝かせてレッティングする生産国では土によって色の違いが出ます。 いっそのこと違う色に切り替えたり、目立ちにくい部分を追加生地にするなど、工夫が必要ですね。

アイロンしてもシワがなかなか伸びない

リネンはもともと、シワになりやすい性質があります。自然のシワをそのままに風合いとして楽しむのもよいですが、ピシッとアイロンをかけたときの滑らかな艶も捨てがたいですね。 ところが、厚手のリネンはシワが頑固に張り付いて、アイロンをぎゅうぎゅうかけてもダメなことがあります。 厚めのものは、半乾きのうちにアイロンをかけはじめると、アイロンの効きが格段によくなります。

リネン生地はお裁縫しやすい?

リネンは水を通すと、織ったままの状態よりも縮む性質があるので、そこは気をつける必要があります。しかし、あとは扱いづらいということはなく、ほかの素材と変わりありません。 むしろ、扱いやすいところもあります。縫い代で折っておく際、アイロンを使わなくても、指で折りぐせをつけるとくっきりと折り曲げることができます。

違う素材と組み合わせてみたい

リネンを、ぜひ、様々な素材と合わせて使ってみてください。 革とリネンで切り替えたバッグは、しっかりとした革の部分としなやかなリネンで役割分担をして。ふわふわした羊毛の裏地にリネンを接いだマフラーは表裏の表情が面白い。小さなリネン袋の口にヒンヤリ冷たい金属の金具を取り付けたがま口は頼もしい組み合わせ。木も、ガラスも陶器も紙も、リネンに合わないなんてこと、きっとないと思います。