子どもアートの窓

心の動きを受けとろう

お気に入りの遊びをどう見つけるか、子どもの気持ちにどう寄り添うか。それが問題!
「好奇心旺盛な子に育てたい」よくお母さん方から聞く言葉であるが、そういうふうに育てるには、お母さんが、「マイブーム」の手助けをしてあげることも大切。しかし、大人側の勝手な押し付けには、決して子どもは反応しないということを肝に銘じていなければならない。子どもの顔をしっかり見て、心の動きを受け取ろう。


意外な興味のあり場所

模造紙の真ん中を子どもが座れるぐらいに丸く切り取る。部屋にいくつか広げておくと、子どもたちはその穴に入りたくなるのは、間違いない。 穴に入って満足そうに座っている。すかさず、絵の具のついた筆をわたす。360度どこにでもに描けると気がつくと、回りながら楽しいもようを描いた。 みんなで楽しんでいると、意外な質問が出た。
「先生、真ん中の丸はどこにいったの?」「えっ!」
切り取った丸い紙を出すと、「わぁ!」と喜んでいる。思いもかけない、子どもの興味のあり場所に、またも感心する。
同じように絵の具で描くのも能がないので、そのへんにあったいろんな色の画用紙テープを持ってきた。
のりが使えるようになっていた子どもたちは、さっそく、丸い模造紙に画用紙テープを貼り付けていく。こっちの方が面白いらしい。
のりをつけるところは自由。これがかえって面白い造形物にしてくれる。

始めは、青や緑でぐるぐる。かたまりができた。やがて、線が穴をひとまわり。
「なあんだ!この紙、ぐるりと回って描けるんだね。足跡も描こう。」
つけては貼り、つけては貼り。だんだんはまっていく。同じように貼るのではなく、テープを丸めたり、ひねったり、並べたりしている。
ひょんな興味から、遊びの造形は始まるものだ。もしかしたら、これが「マイブーム」の芽生えかもしれない・・・・


画用紙テープの端っこにのりをつけて貼ってみた。
また貼って、どんどん貼って・・・・
「おひげみたいになっちゃった。それとも、髪の毛?
顔を描いたらどんなかな?」

画用紙テープの両端にのりをつけて貼ってみた。
トンネルができちゃった。
「輪っかにして貼っても、トンネルになるよ。」


「マイブーム」を応援しよう

この活動の様子を、お母さん方に詳しく話す。
その話を聞いて、もしも、家で、画用紙テープとのりをさりげなく用意するお母さんがいたとしたら、子どもはどうするだろうか?とか、考える。
何の「マイブーム」に乗せるかは、お母さんやまわりにいる大人次第かもしれない。その「ブーム」を助けるのもお母さんだ。
環境は、お金をかけたおもちゃや機材でなくても、身の周りにあるもので、十分に工夫ができるものなのだけれど、近頃は、そういう工夫ができるお母さんが少なくなった気がしている。

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