子どもアートの窓

「マイブーム」が工夫をよぶ

「マイブーム」は子どもに何をもたらすのか。繰り返しの中に発見があり、工夫が芽生え、さらなる発見をもたらす。経験が子どもを賢く成長させるという意見には賛成だが、そんなに難しいことを考えなくとも、人間夢中になるものがあるのは、いいことだ。


「ちいさなさかな」がついてくる

ブルーナの絵本「ちいさなさかな」を読んでから、みんなで緑のさかなをつくることにした。
セロファン紙は、透明で面白い。手触りがガシャガシャしていてさわり心地に手ごたえが感じられる。
紙コップを置いて、上に緑のセロファン紙をかぶせる。両方の手のひらでセロファン紙をおさえ、コップを包み込んで、根元をねじる。ねじったところは、セロテープで止めてあげよう。さかなの出来上がり。
目や口がいるというので、シールをあげると好きなところに貼る。目や口は、私たち大人が、考えもつかないところに貼ってしまう。でも、直すまい。目や口の位置のそういう捕らえ方も子どもから学ぼう。
さかなができたら、お池に入れてあげようと、にわか仕立てのフープの池に入れる。でも、動かないから面白くもなんともない。魚の口に、長いタコ糸をつけてみた。
引っ張るとこっちに泳いでくる。さあ、面白くなってきた。タコ糸を持って池の周りを走ると池の中のさかなも走る。どんどん走る。池の外に飛び出しても、子どもたちはおかまいなしで、たこ糸を引っ張って歩く、走る。さかなはどこまでもついてくる。部屋中が、池の中になってしまった。


みんなで遊ぶこととは

輪つなぎができるようになったらへびが作れる。丸い輪つなぎ、四角い輪つなぎ。デザインと模様さえ工夫すれば、自分だけの楽しいへびが作れる。またタコ糸をつける。引っ張って歩くとへびがにょろにょろとついてくる。部屋中をあっちこっち思い思いの方向にへびの散歩を始める。
みんなで遊んでいると、タコ糸も絡まるし、へびも絡まる。あっちこっちで、絡まったへびを元に戻そうと、友だちと交渉が始まっていた。

「そっち引っ張ったらだめだよ」「ひもが絡まってるから、ほどいて」「そんなにつよく引っ張ったら、こわれるよ」「僕のへび、踏まないで・・・」 まあ、切れても、破れても直せばいいし、絡まらないようによけて引っ張る工夫ができるようになればいいか・・・・と口は出さないことにした。まさか、引っ張ったまま家にかえらないだろうな・・・