子どもアートの窓

自分で選ぶ自由

今回のひもや包装紙選びのように、たくさんの候補の中から、好みのものを選ぶと言うのは、年齢が上がるほど、楽しめるようになる。
小さい子は視野が狭く、よく見えるように並べておいても、目の前の目立つものを手に取る傾向がある。
私は、選ぶ前に机の周りをひと回りさせることにしている。
「どれにしようかな~?」などと声をかけてあげることが、選択肢がたくさんあることを意識させ、選ぶという感覚を持つことの助けになることもある。
子どもの好みは、どのようにつくられるのかがいつも疑問であるが、性格が窺えたり、成長と共に変わっていく様子や、今の心情が計られたりすることもあり、とても興味深い。


包装紙のすすめ

包装紙は美しいデザインだ。よそからのいただき物などは、失礼ながら、中身よりも包装紙が美しいと、大喜びしてしまう。注意深くできるだけ綺麗に包装をはずし、アイロンをかけて、収集ファイルに挟む。
そして、子どもたちの造形活動に大判振る舞いをする。

最近、うれしいことがあった。年中の子どものお母さんが、「先生、これ使ってください」と、ある包装紙をくださった。紫地に薄桃色の桜の花びらが散った包装紙。材質は和紙の手触り。なんてステキな紙だろう。そのお母さんは、子どもの作品を見ているうちに、いろいろな造形材料を集めるようになったとか。
「きっと、先生がお好きなんじゃあないかと思って」
とおっしゃる。

子どもの作品を見て、アートを感じて下さったのだろう。ご自身は、造形は苦手だとおっしゃりながら、しっかりと、美しいものに目を留めることをしてらっしゃるなあと感心!
包装紙だけではない。身の回りはデザインで満ちている。果物や野菜、植物や生き物の形や色にも、自然物のデザインがあり、日用品から家具、洋服などにも人工物のデザインがある。
人は、視覚的なものに限って言うと、色や形の中で生きているのであるから、その中を、溺れることなく余裕で、うまく泳いで行きたいものだ。

遊びをデザインに


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