子どもアートの窓

5.お茶碗やお椀の物語と立体表現

二次元画面に立体表現ができるようになるには、それなりに三次元的な見方が脳で組み立てられるようにならなければならない。
年長の勉強の課目に「四方観察」という項目がある。立体物を正面から、真横右から、真横左から、真上から見たらどんなふうに見えるかという勉強である。例えばカップの絵を描かせる。


年長になると、三次元的なものの見方ができるようになるということだ。

絵画表現となると、どうなるか。
単純にお茶碗やお椀の絵を描かせる。年長になるとほとんどが、横から見た形を描く。
ここで、具体的な食事の絵を描くと、変化がおこる。
描く前に、楽しい食事の様子や、お母さんがどんな料理をするか、好きな食べ物は何か、お味噌汁には何がはいっているかなどの話し合いをすると、子どもたちはお茶碗やお椀の中身を描こうとする。ご飯物語やお味噌汁物語ができたということだ。
中身を描きたいばっかりに、中身が透けて見えている方法(レントゲンみたいに)で描く子、真上から見たお茶碗を描く子もいるが、考えに考えたあげく、真上からと横からを合体させて描く方法をとる子が出てくる。
自然に、お茶碗の立体表現ができてしまった。


自分なりの見方の理論を、探りながら構築していくことで、ものの見方や考え方を豊かにしていく。子どもはたくましいものだ。


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