『あくたれラルフ』:童話館


いやはや、子どもというものは、どうしてこう何度言ってもきかないものか、ほんとにもう!!と、考えているお母さん方は多いことだろう。「懲りない」ということだと思うが・・・・しかし、考えてみれば大人だって、何度失敗しても「懲りない」ことがある。この「懲りない」化身のようなねこの話。名前は「ラルフ」緑の目をした赤いねこである。
この絵本を最初に見たとき、これは価値ある絵本だろうか?と疑問はあった。でも、確かに一度読めば、もう一度読みたくなる。再び読んでも、またもう一度読みたくなる。どこに惹かれるのだろう。考えるに誰にでも、ラルフ的要素があって、それを赤裸々に見せ付けられているところに、気持ちよさを感じているのではないだろうか。しかもラルフは、案外弱虫であり、それなりのかわいそうな制裁をうけるところに、人が本来もっているはずの道徳的な安心感が生まれる。これはまさに人の本質に迫る文学ではないか。と、考えるに至った。
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私の二人の娘は本が好きです。特に上の娘は、いわゆる本の虫で、常時何冊かを平行して読み、活字であれば 新聞から包装紙までなんでも読む子供でした。長じていまは言葉の研究をしています。
さて、彼女がそんなに本が好きになったのは堺谷寛子さんが主催されていた「きらきら文庫」に1歳から6歳まで通っていたからなのです。三つ子の魂百までとはよく言ったものです。
堺谷せんせいの読み聞かせを輪になって身を乗り出して聴いていた子供たちの食い入る面持ち。
  私にとってはその情景はもう遠い昔のこととなりましたが、堺谷せんせいはその後もずっと彼らを恍惚の世界にいざなう仕事を続けています。
きっとせんせいは、子供たちのその眼差しの虜となっているのに違いないと私は思っているのです。




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