『子どもがはじめてであう絵本3』:福音館書店


究極のシンプル、究極の絵本サイズ、そして、究極の6色のカラー。この絵本をつくったディック・ブルーナは、鼻の下に白い立派な髭をたくわえている。丸みをおびためがねの奥の目は、この上なくやさしく、ほっぺはばら色で、笑顔がかわいいおじいさん紳士である。なんと、うさぎ年だそうだ。アトリエに、たまらなくクラシックな自転車で通いながら、世界中の子どもたちばかりでなく、大人にも、心温まるまっすぐな視線で、芸術を届けている。是非、こんな人とお友達になりたい。
グラフィックデザイナーとして、オランダの出版社で活躍していた頃の、ポスターや、本の装丁などの作品を見ると、おしゃれで上質な彼の品格が気持ちよく伝わってくる。
ブルーナの絵本といえば、「うさこちゃん」に人気があるが、本当は他にも、登場人物といい、内容といい、本当に多様で奥が深いものがたくさんあるのだ。


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私の二人の娘は本が好きです。特に上の娘は、いわゆる本の虫で、常時何冊かを平行して読み、活字であれば 新聞から包装紙までなんでも読む子供でした。長じていまは言葉の研究をしています。
さて、彼女がそんなに本が好きになったのは堺谷寛子さんが主催されていた「きらきら文庫」に1歳から6歳まで通っていたからなのです。三つ子の魂百までとはよく言ったものです。
堺谷せんせいの読み聞かせを輪になって身を乗り出して聴いていた子供たちの食い入る面持ち。
  私にとってはその情景はもう遠い昔のこととなりましたが、堺谷せんせいはその後もずっと彼らを恍惚の世界にいざなう仕事を続けています。
きっとせんせいは、子供たちのその眼差しの虜となっているのに違いないと私は思っているのです。




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