工場見学

NO.5 MEYER MAYOR, Swiss





1.スイスの織物工場


20年ぐらい前、日本人が行ってみたい海外のトップに、いつもスイスがあったように思います。スイスはもちろん観光の国、時計や精密機械、そしてかつては織物産業の国でもあったのでした。
チューリッヒから東南方向に車で1時間、裏山で夏にはハイキング、冬にはスキーといった場所に、マイヤー・マイヨール社はあります。



この地に工場が引っ越したのは1800年代の終わりごろ。こんな風光明媚な場所を選んだのはいい水があったからで、海のないスイスでは、当時工場は必ず川沿いにあったそうです。川から引く水で動力を起こした水車タービンが今もあり、この機械室は地元の小学生が理科の授業で必ず見学にくるので、その仕組みを説明したパネルが常時用意されています。




この工場は今まで見た製織工場のなかで、飛びぬけてきれいで床に繊維くずさえありません。リネンの他にコットンや合成繊維を扱うことが多いからかもしれないし、直前に掃除をしてくれたのかもしれませんが、後で伺ったオフィスもとにかくきれいでした。
そして高度にオートマティック化された織機のおかげで、今日はお休みかと思うほど人が少ないのです。ジャカード織りのための高性能マシンは、キッチンタオルを横に4枚とれる広幅で、驚くほどの速さで、織りあげていきます。



マイヤー・マイヨールはウィービングだけの工場で、リネンの糸は主にイタリア製です。 そして上の写真が、今のマイヤー・マイヨール社を支えている、軽量で丈夫な布を織るための合成繊維です。ヨットの帆、熱気球、ハングライダー、パラシュートなどに使われている素材で、ものすごく薄い布もありました。



これを可能にしているのも、最新の高性能マシンなのですが、エプロンのリボンを織るためだけの織機や、キッチンタオルの自動折りたたみ機があったりと、社長はきっと機械好きなのだと思います。使い古した機械類は、主に東南アジアに売られていくそうです。






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