『月おとこ』:評論社


私が、トミー・ウンゲラーの絵本と出会ったのは、まだ随分と若い頃、ほるぷ出版の海外絵本シリーズを、まとめて買った時のこと。『月おとこ』は、スイスの本で、その頃はまだ日本では出版されていなかったと思う。外国語で書かれてあって、文章はまるで読めず、その意味もよく分からなかった。
しかし、ユーモラスな絵が、しっかりと話の流れをつくっており、何がどうなったか・・・ぐらいは理解できた。是非とも日本語訳が読みたい。仕方がないので、シリーズについていた解説をもとに、自分で文章をつくり、なんとか子どもたちに読み聞かせていた。かくして数年後、すぐれた日本語訳で、再びお目にかかったときは感激であった。
…つづきへ




『ゼラルダと人喰い鬼』:評論社


「月おとこ」から数年たって、いつもの本屋の絵本売り場で、ウンゲラーという作者名が目にとまった。「ゼラルダと人喰い鬼」とは、恐ろしい表題の絵本だ。ドキドキしながら本箱から取り出す。
…つづきへ




私の二人の娘は本が好きです。特に上の娘は、いわゆる本の虫で、常時何冊かを平行して読み、活字であれば 新聞から包装紙までなんでも読む子供でした。長じていまは言葉の研究をしています。
さて、彼女がそんなに本が好きになったのは堺谷寛子さんが主催されていた「きらきら文庫」に1歳から6歳まで通っていたからなのです。三つ子の魂百までとはよく言ったものです。
堺谷せんせいの読み聞かせを輪になって身を乗り出して聴いていた子供たちの食い入る面持ち。
  私にとってはその情景はもう遠い昔のこととなりましたが、堺谷せんせいはその後もずっと彼らを恍惚の世界にいざなう仕事を続けています。
きっとせんせいは、子供たちのその眼差しの虜となっているのに違いないと私は思っているのです。




本棚部屋から」バックナンバー