『ルピナスさん』:ほるぷ出版 |
「優れた絵本は、人生を語る力を持っている。」と、以前、絵本についての意見交換会で、耳にしたことがある。そうした絵本が、数多く、私の本棚にあるものの、それを読んできた私は、人生において、そのさりげない教えを十分生かしきれているかどうかは、はなはだ疑問である。大人になってから読んだのでは、遅すぎるのか、私が鈍いのか・・・ せめて、これから成長していく子どもたちには、純粋にものごとを吸収できる時期に、読み聞かせて、潜在意識の中に、人生を力強く生きていく種を、植えておいてあげたいと思う。ルピナスさんのように、世の中を美しくするために。
この絵本を読んだとき、心洗われる爽快な気持ちと同時に「女性たるものこうありたいものだ!」とつくづく思った。
聡明で大胆、ものごとをしっかり見つめながら、ゆるぎない自分をもつに至る女性。 もしも、自分が、もっと純粋な時期にこの絵本に出会っていたら、ひょっとして私の人生は、少し違ったものになっていただろうか。いや、まだ、遅くはないかもしれない。 …つづきへ |
『ヘルガの持参金 トロールの愛のものがたり』 :ほるぷ出版 |
この絵本に出会ったときには、本屋の店先で、笑いに笑った。大きな声こそ出さなかったが、確実に肩は震えていたと思う。 トロールというのは、北欧民話によく出てくる妖精で、広く知られているところでは、トーベ・ヤンソン作のムーミンも、トロールの一種であるし、絵本「三びきのやぎのがらがらどん」では、橋の下に不気味に座り込んでいる。古く1976年にほるぷ出版から出た「トロールものがたり」では、想像を絶する世界に、様々なトロールが、描かれている。 |
トロールはいろいろな姿かたちで語られるが、この絵本「ヘルガの持参金」でのそれは、イタリアの中世の社会に登場する。あの「神の道化師」「クリスマスの前の晩」を書いたトミー・デ・パオラが贈る、拍手喝采の結婚騒動記。トロール娘が巻き起こす、おかしくて、痛快なシンデレラストーリー。笑いを愛するみなさんに、是非とも読んでいただきたい。人生を力強く生きていこう! …つづきへ |
私の二人の娘は本が好きです。特に上の娘は、いわゆる本の虫で、常時何冊かを平行して読み、活字であれば 新聞から包装紙までなんでも読む子供でした。長じていまは言葉の研究をしています。 さて、彼女がそんなに本が好きになったのは堺谷寛子さんが主催されていた「きらきら文庫」に1歳から6歳まで通っていたからなのです。三つ子の魂百までとはよく言ったものです。 堺谷せんせいの読み聞かせを輪になって身を乗り出して聴いていた子供たちの食い入る面持ち。 |
私にとってはその情景はもう遠い昔のこととなりましたが、堺谷せんせいはその後もずっと彼らを恍惚の世界にいざなう仕事を続けています。 きっとせんせいは、子供たちのその眼差しの虜となっているのに違いないと私は思っているのです。 |